帯状疱疹ってなると痛いやつです。帯状疱疹が治ったよって先生が言ったけど痛いってこともあるんですよね。その痛みは長期に続くことがあるんです。その名も帯状疱疹後神経痛です。今回はこのことについていってみましょう!!
目次
帯状疱疹とは
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスの感染によって起こる疾患です。子どものころに発症する水ぼうそう(水痘)のウイルスは、水ぼうそうが治っても体から完全に消えてなくなるわけではなく、神経の中に潜み続けます。そのウイルスが数十年たってから再び増殖して神経を伝わって広がり、神経と神経に沿った部分の皮膚に炎症を起こします。それが帯状疱疹です。
水ぼうそうが治ってからしばらくは、免疫が高まっているため帯状疱疹の発生頻度は低いですが、40歳代を過ぎて50歳代になると急に発生率が高くなり、その後は加齢とともにほぼ直線的に増えていきます。80歳まで生きると、半分の人が帯状疱疹を経験すると考えられます。
帯状疱疹の症状と経過
帯状疱疹になると、体の片側の帯状の範囲に発赤を伴う水泡がいくつも集まって発生します。それらの皮疹と同じ範囲に、皮疹ができるのとほぼ同じ時期もしくは皮疹ができるよりも数日前からズキズキとした痛みが生じます。
ウイルスの増殖による炎症は2週間程度ですみやかに治まるため、皮疹は約1か月で色素沈着などの瘢痕を残して治り、痛みも治まります。しかし、皮膚の症状が治まっても、数か月を過ぎても痛みが残る人が10%程度存在します。このような状態を帯状疱疹後神経痛と呼びます。
帯状疱疹はありふれた疾患ですが、帯状疱疹による痛みの強さや痛みが治まるまでの期間は個人差が大きいため、周りの人と違う経過をたどることに不安を覚える患者さんも少なくありません。
帯状疱疹後神経痛の特徴
帯状疱疹後神経痛では、
持続的な痛みと間欠的な痛みが生じます。持続的な痛みでは、ひりひり、ちかちか、焼けるようなといった性状の痛みが多く、間欠的な痛みでは、鋭い、電気が走るような性状の痛みを多く認めます。また、皮膚に布が擦れるような軽く触った刺激でも強い痛みが誘発される状態を認めることもあります。
これらの痛みは、帯状疱疹の急性期に炎症によって神経が損傷を受け、神経の形態学的、機能的変化を生じたために引き起こされるもので、神経障害性疼痛と呼ばれる種類の痛みです。その程度には個人差があり、睡眠や日常生活に支障をきたすほどの強い痛みを訴えることも多く、QOLの著しい低下につながります。
治療
帯状疱疹後神経痛のような神経障害性疼痛は、治りにくい厄介な痛みとして知られています。神経障害性疼痛には、消炎鎮痛薬などの一般的な鎮痛薬が効きにくく、すべての人に当てはまる絶対的な治療法はありません。
薬物療法
リリカ タリージェ
神経障害性疼痛の患者さんに第1選択で使われる薬です。痛みを脳に伝える神経の働きを抑える作用が痛みが効くと考えられています。眠気、ふらつきなどの副作用があるので、注意が必要です。
トラマール トラムセット
神経障害性疼痛の患者さんに第2選択で使われる薬です。モルヒネなどのオピオイド鎮痛薬と同じ作用で、痛みを脳に伝える経路のさまざまな部位で痛みを抑えます。依存の危険性が少ないため、モルヒネなどとは異なり薬物指定はされていません。
神経ブロック療法
主に整形外科、麻酔科やペインクリニックで実施されており、局所麻酔薬やステロイド薬を障害された神経に直接注射して、痛みの伝達をブロックする治療法です。発症してから時間が経っていない帯状疱疹後神経痛では、有効である場合が多いです。
まとめ
発症して半年以上が過ぎた帯状疱疹後神経痛は、主に薬物療法で治療しますが、痛みを完全になくすことは困難です。強い痛みが絶え間なく続くと、だれでも不安になり、気分が滅入ってしまいます。
しかし、痛みにとらわれて気にしてばかりいると、かえって痛みを強く感じていしまいます。症状の改善を待つのではなく、痛みが残っていても、できるだけ発症以前と同じ生活を続けることが、結果的に症状を軽くしてくれます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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