動悸がすると患者が訴えると私のほうが動悸しそうなんです。動悸がするってほんとこわくて聞いた瞬間頭がフル回転します。頭の中にある知識の引出しをドンドン出して対応をします。
動悸の原因って難しいんです。動悸の原因疾患は心疾患に限らず多岐にわたります。不整脈の場合を認めた場合は緊急対応の態勢を整えます。また動悸の感じ方には個人差があるので、原因疾患の重症度とは必ずしも一致しないため、注意が必要です。
その中でも見逃したらいけない疾患があります。それをまとめました。心の準備なんてすることがないのでちょっとだけでも把握はしときましょう。
それではどうぞ!
動悸に関しての緊急疾患
急性冠症候群
心筋に栄養を供給している冠動脈にできた病変が破綻し、冠動脈の血流が減ったり途絶えたりすることで起こる疾患の総称です。不安定性狭心症、急性心筋梗塞、心臓突然死などをいいます。
突然発症した胸痛の持続、吐き気、嘔吐、血圧低下、冷汗、頸静脈怒張などがみられます。心筋虚血や心筋壊死の発生、致死性不整脈の合併なども起こりうります。
急変対応のポイント
・バイタルサインと身体所見の評価
・12誘導心電図による心電図評価
・末梢静脈ルートを確保し、酸素・アスピリン・硝酸薬などの考慮
ST上昇型心筋梗塞
心臓への血流が途絶えることで心筋細胞が壊死し、心機能が急速に失われる深刻な心筋梗塞です。突然出現し20分以上持続する胸痛、蒼白、呼吸困難、冷汗、吐き気、意識喪失などを呈します。
不整脈や心不全、肺水腫、心破裂などを合併しやすく、発作から1時間以内に致死するケースが多いです。動脈硬化による血栓が原因の大半を占めます。
急変対応のポイント
・急性冠症候群の急変対応のポイント を一通り行う
・発症1時間以内の対応が予後を左右するため、ただちに血流再開の手立てを講じる
・t-PAの静注投与、カテーテル治療、開胸手術などの施術に合わせた準備を行う
頻脈性不整脈
心拍数100回/分以上を頻脈性不整脈といいます。緊急対応が必要な不整脈には、心室性頻拍、心室細動、心房細動、心房粗動などがあります。
高血圧、心疾患、甲状腺疾患、電解質異常などが原因で、心拍出量が減少し、まめい、立ちくらみ、息切れ、動悸、意識喪失などをきたします。血栓により脳梗塞や心筋梗塞を起こし、心停止を招いて突然死することもあります。
急変対応のポイント
・バイタルサインを確認しつつ病歴を聴取開始。適宜、酸素投与を行う
・生理食塩水や乳酸リンゲル液などの輸液ラインの確保
・除細動器を準備し、同期電気ショックを施行
徐脈性不整脈
心拍数60回/分以下を徐脈性不整脈といいます。緊急対応が必要な不整脈には、同不全症候群、房室ブロックなどがあり、徐脈でも動悸を感じることがあります。
迷走神経反射、高カリウム血症、心疾患、薬剤などが原因とされますが、徐脈そのものだけでは病的とせず、自覚症状や他覚症状から診断されます。
急変対応のポイント
・バイタルサインの確認後、まず酸素を投与
・静脈ルートを確保し、モニタリングを開始
・薬物治療に反応がない時は、ただちに経胸壁ペーシングの準備
コメント