応募書類の志望動機というと、応募書類作成の中で何を書いたら良いのか最も悩むポイントだと思います。
これまで看護師のキャリアアドバイザー→病院やクリニック、訪問看護の採用担当として何千人もの職務経歴書を見てきた経験がある私が志望動機の作成についてヒントになるよう、事例を踏まえてサンプルをご紹介します!
1|採用担当者が志望動機で重視する3つのポイント
1−1|なぜこの職場を選んだのか
1−2|なぜ自分がこの職場に貢献できるのか
1−3|入社後にどうなりたいか
2|【経験別・応募先別】志望動機サンプル5選
2−1|急性期病院 → 回復期・療養病院
2−2|病棟 → 美容クリニック
2−3|急性期病院/病棟 → 訪問看護ステーション
2−4|急性期病院/病棟 → 介護施設・ホスピス
2−5|ブランク → クリニック
3|採用担当者の心を掴む!志望動機を魅力的に見せる3つのコツ
3−1|具体的なエピソードを盛り込む
3−2|応募先への熱意を伝える
3−3|言葉のチョイスや表現にも気を遣う
3−4|【裏技】AIを活用して志望動機を作成するのも一つの手
4|まとめ:あなたの「仕事への想い」が成功への鍵
志望動機は採用担当が応募書類の中でも重要視する項目の一つです。
特に応募倍率が高い求人は、経歴や勤務条件でなく、志望動機が自社と合致しているかもよく注目されやすいです。
志望動機が曖昧だったり、自社の内容と合っていなかったりすると「この候補者さん、働くイメージがついていないかも」や「応募に対する本気度が低いのかな」と思われてしまう可能性があります。
そういったことにならないよう、応募先に合わせた志望動機を作成することが看護師転職の応募書類には重要です。
そこで、志望動機で採用担当者が重視するポイント3つを説明します。この3つの要素が含まれていると、個別性や志望度の高さをアピールすることに繋がりますのでしっかりおさえると良いでしょう!
- なぜこの職場を選んだのか
- なぜ自分がこの職場に貢献できるのか
- 入社後にどうなりたいか
1の職場を選んだ理由は、応募に至った自身の考えや出来事を具体的に記載をすることを意識しましょう。
例えば、病院から健診施設に応募する場合、「予防医療に興味を持ったので」という志望動機よりも「繰り返し生活習慣病で入退院を繰り返す患者を診たことで予防の大事さを感じ、健診から健康指導まで地域密着で力を入れている貴院に興味を持ったため」とした方が、意欲がとても伝わると思います。
2のなぜ貢献できるか?は応募先の理解度を伝えるためにとても重要です。また、応募先の仕事とこれまでの自身の経験を結びつけることで、自身のキャリアも客観的に整理できていることのアピールにも繋がります。
3の入社後のキャリアプランや成長意欲を重視している応募先で特に重要視しています。前向きさや積極性を問われるような職場の場合は必ず記載するようにしましょう。
これらのポイントを踏まえて、経験職種と応募先別に5パターンの志望動機サンプルをご紹介します。
【現職】急性期病院 → 【応募先】回復期・療養病院
「現職では在宅復帰を目指す患者様が多かったが実現しないことも多く、そのような患者様の役に立ちたいと考えるようになりました。ご自宅と現職の架け橋の機能を持つ貴院で、在宅生活を目指す患者様に貢献したいと思い志望いたしました。これまで培った病棟経験を活かしながら、慢性疾患の専門性を磨き、貴院と患者様に貢献して参ります。」
NG例)「急性期は忙しく、療養病院ならゆっくり勤務できると思い・・」と、ネガティブな退職理由と漠然としたイメージで記載する
【現職】病棟 → 【応募先】美容クリニック
「自身も悩みを抱えて美容医療に通っていたことから、看護師として同じ悩みを持つ方に貢献したいと思うようになり、この度貴院を志望しました。美容クリニックも一般の病院と同様に、患者様は治療に際して不安な気持ちを抱えていることが多いと思います。これまでの病棟経験を活かしたコミュニケーション力に加え、美容知識を研鑽することで患者様に安心して過ごしていただけるような看護師を目指します。」
NG例)「美容が好きだから、美容クリニックで働きたい」といったような、キャリアとの接点や自身の考えが不明瞭になってしまっている内容
【現職】急性期病院 → 【応募先】訪問看護ステーション
「学生時代に祖父母が在宅医療にお世話になっており、それが看護師を目指すきっかけになりました。自分も患者様やご家族に信頼され、在宅生活を支えられるような看護師になりたいと考え、訪問看護のキャリアのスタートして教育制度が充実している貴社を志望しました。」
NG例)「病院の夜勤は体に合わず、日勤のみの仕事で看護師として活躍したい」と、勤務条件・希望最優先のイメージを与える内容になっている。
【現職】急性期病院 → 【応募先】介護施設・ホスピス
「退院調整の経験から、退院後の生活環境を整備することに悩まれる患者様を多く見て参りました。病院でも自宅でも過ごすことが難しい利用者様にとって、貴施設のような機能を果たす存在は社会的意義が高く、自身もそのような環境で利用者様やご家族様に貢献したいと思うようになり志望いたしました。」
NG例)「貴施設は大手ということもあり休日が多く、WLBを改善しながら看護師を続けて行くことができると思い志望します。」母体への理解はあるが業務内容への理解が不明瞭で、且つ応募背景が勤務条件が理由となっている。
【現職】ブランク → 【応募先】一般診療のクリニック
「約5年出産と育児で看護師の仕事から離れておりましたが、家庭を持った経験から地域医療の重要さを感じる場面が多くなり、看護師として再度地域と社会に貢献したいと考え復帰を志しました。貴院は様々な疾患・年齢層の患者様がお見えになると思いますが、どのような患者様にも安心して医療を受けていただけるよう、これまでの経験を生かすとともに新たなことにも積極的に挑戦して行きたい所存です。子の手が離れましたらいずれはフルタイムで勤務をすることを含め、長く腰を据えて勤務したいと考えています。」
NG例)「手技に不安があり、外来でしたらまずは復帰が可能と思い志望いたしました」と、業務内容の理解に乏しい印象の内容になっている。
1.具体的なエピソードで説明する
漠然とした表現だけではなく、貴方の経験に基づくエピソードがあると説得力が増します。どのようなことを指しているか、以下の2つの志望動機サンプルを比較してみましょう。どちらが志望度がより伝わるでしょうか?
sample1
「高齢者が好きなのでホスピス施設を希望しました」
sample2
「自宅では生活が難しい終末期の患者様を病院で診る事が多く、そのような方々の生活の支えになる方法を前職でも模索しましたが、病院では出来ることが限られており、自らホスピス施設で勤務することで直接そのような方々の生活を支えるサポートをしたいと思っている」
経験と応募先によってはなかなか良い具体的なエピソードが見つからないかもしれません。しかし、この具体的な経験に基づく志望動機が応募後の選考通過率にも影響があります。これまでを振り返って見て、応募先とこれまでの自分の経験の接点を見つけてみましょう。
逆に、どう頑張っても志望動機に繋がる経験が見当たらない応募先の場合はキャリアと転職先選定から棚卸しを再度してみるのも良いでしょう。
2.応募先への熱意を伝える
私がこれまで人事として様々な方の選考や、スタッフの活躍を見てきた中で、活躍する人材には共通した特徴があります。
それは、看護スキルやコミュニケーション力などもありますが、一貫して「理念に共感している」ことです。
看護師の仕事は感情労働とも言われており、業務の手順が決まっていたとしても対応する看護師一人一人の想いや仕事に向き合うスタンスで患者様に提供できる価値が変わってくるものだと、私は思っています。
だからこそ、企業や医療法人の理念に共感して行動できるスタッフは、その組織が目指すことの実現に寄与し、そのスタッフ自身が活躍していくのだと思います。
理念共感はもちろん仕事をしながら身につくこともありますが、基本的な考えや価値観は元々人それぞれにあるものだと思います。中途応募を考えている看護師であれば就業経験から培ったものもあると思います。一方、現職では理念に共感しにくく、転職を考えている方もいらっしゃると思います。自分はどんな理念のもとで看護師としてキャリアを積んでいきたいのか、考えてみて、共感できる考えが応募先にあれば是非熱意を持って伝えると良いでしょう。
その時、「なぜこの理念に共感するのか?」のなぜの部分について自分なりの考えを持つことがとても重要です。
3.言葉のチョイスや表現にも気を遣う
転職活動をしていると、どうしてもネガティブなことや考えが出てくることもあると思います。もっと自分らしく働きたい・・、今の職場ではどうしてもやりたい看護ができない・・など。
しかし志望動機を作成するときにはネガティブな表現は避け、ポジティブな印象に映る言葉選びをすると良いでしょう。
・夜勤をしたくないから病院以外で働きたい
→◎◎のやりがいを感じるのでクリニックで就業したい
・自宅から遠い配属は避けたい
→自身の生活している地域の患者様のためになりたいので、生まれ育った◎◎周辺の配属を希望します
しかし、このポジティブな表現は自信満々な印象を与えないように注意です。看護師経験が豊富であるからとはいえ、転職をしたらその就業先のルールややり方を一から学ぶ姿勢が求められます。
そのような場面で上手く振る舞えるか不安が残るような印象にならないよう、謙虚さと自信を与える表現のバランスが重要と言えるでしょう。
4.AI活用をするのも一つの手
志望動機を整理する上で、AIを活用するのも手段の一つです。活用方法は様々ありますが、例えば概ね自分で作成した志望動機をAIで添削してもらうようなことも可能です。
その際には、自分の経歴や応募先の情報も含めて添削依頼をするとより具体的なアドバイスがもらえるでしょう。
もしも履歴書や職務経歴書も用意してあるようでしたら、その書面をAIに読み込ませると、更に具体的なアドバイスが受けられます。
添削をしてもらう上で欲しいアドバイスがあればそれをオーダーするのも良いでしょう。経験と応募先によってはなかなか良い具体的なエピソードが見つからないかもしれません。しかし、この具体的な経験に基づく志望動機が応募後の選考通過率にも影響があります。これまでを振り返って見て、応募先とこれまでの自分の経験の接点を見つけてみましょう。
逆に、どう頑張っても志望動機に繋がる経験が見当たらない応募先の場合はキャリアと転職先選定から棚卸しを再度してみるのも良いでしょう。
貴方の「この仕事をしたい!」という気持ちが転職成功の鍵。
それを表現するのが志望動機です!
「なぜこの仕事をしたいのか」をじっくり考えて、応募先との最適なマッチングになるよう意識して作成してくださいね。きっと貴方だけのオリジナリティのある志望動機があるはずです。